手賀沼暮色

秋も深まり夕闇(ゆうやみ)も早く訪れるようになりました。鳥たちも明るさを惜しむが如く、湖上を滑るように進んでいきます。突然、コブハクチョウが羽ばたきました。近くのオナガガモ達は、驚いた様子もなく、平然と進んでいきます。静かに静かに手賀沼は、暮れてゆきます。

背後の夕陽は、衰えた最後の光を鳥たちに浴びせています。その陰が湖面に長く映リはじめました。あたりは、だんだん薄墨色(うすずみいろ)に染まって、秋の夜長の始まりです。



「目をあきて 秋づきにける 夕かげは 
         夢のつづきの 如くさみしき」(吉田正俊