ずいぶん長い間、見たことが無かった、かたつむりを見つけました。木の枝にしがみついて動きません。日当たりもいいので寝ているのかもしれません。
とても懐かしくて、幼いころ歌った「かたつむり」の歌や童話「デンデンムシノカナシミ」を思い出しました。
かたつむり
作詞作曲不詳、「尋常小学唱歌」(1911年(明治44年)発表
でんでん虫々 かたつむり、
お前の頭は どこにある。
角だせ槍(やり)だせ 頭だせ。
でんでん虫々 かたつむり、
お前の目玉は どこにある。
角だせ槍だせ 目玉出せ。
「デンデンムシノカナシミ」(新美南吉:作)のあらすじは、
ある日、でんでん虫(カタツムリ)は「自分の殻の中には『悲しみ』しか詰まっていない」ことに気付いて、「もう生きていけない」と嘆きます。そこで別のでんでん虫にその話をしてみると「私の殻も悲しみしか詰まっていない」と言います。また別のでんでん虫に嘆いてみても、そのでんでんむしも同じように答えました。そして最初のでんでん虫は「悲しみは誰でも持っている。自分の悲しみは自分で堪えていくしかない」と嘆くのをやめました。
というものです。
また、島崎藤村の詩集の中の「月光五首」の中に「かたつむり」を詠んだ歌がありました。
われあやまれり其(その)殻の
安きを思へかたつむり
君し眠りの楽しくば
さめずもあれや月の光に
「かたつむり」は、多くの思いを秘めている虫なのでしょうか?