手賀沼遊歩道脇で咲いている「あやめ」

「ほととぎす 鳴くや五月の あやめ草 
             あやめも知らぬ 恋もするかな」

                        (古今和歌集 よみ人しらず)


意訳:ほととぎすが鳴く五月に咲きほこるあやめ草、そのあやめではないけれど、
   この世の筋道(あやめ)もわからなくなるような恋に焦がれている私)


手賀沼遊歩道脇に紫色の花が一つだけスックと立って咲いています。

まだ五月ではないのですが健気(けなげ)に咲いています。

「あやめ」でしょうか? 「しょうぶ」でしょうか?

「あやめ」は、背が低いのでひょっとしたら「しょうぶ」かもしれません。


「わが恋は 人とる沼の 花菖蒲(はなあやめ)」    (泉鏡花


意訳:私の恋は、底のない泥沼に入らないと成せない恋なのです。 花しょうぶを、花あやめと呼ばせるように。



注:花菖蒲は、ふつう(はなしょうぶ)と詠みますが、ここでは(はなあやめ)と詠んでいます。ですから鏡花の恋は「道ならぬ恋」多分、人妻への恋なのでしょう。