真夏の白百合

炎天下の谷津干潟の路傍に白い百合が咲いていました。思いがけなく、この白百合に出会ったためか、ふと、佇んでしまいました。この花の付近が、何か別の世界でもあるかのような錯覚を覚えます。

ユリは姿が美しく、美人の形容にも例えられています。日本は、ユリの特産地で、我が国固有のユリも多く存在するようです。

幕末、シーボルトが日本のユリの球根をヨーロッパに持ち帰り、その花が、「復活祭」に用いられるユリの花として大流行したため、日本から「鉄砲ゆり」の球根が、近代日本の絹に次ぐ二番目の主要輸出品として、大量に輸出されたそうです。

マリア様の埋葬地にユリの花が咲いていたという、キリスト教の伝説によって、キリスト教徒の国々では、ユリは昔から大切にされ、マリア様のゆかりの花として、また、マリア様のシンボルとして、「純潔」の花言葉をもつ重要の花となっているそうです。

ヨーロッパでは、輸入品の鉄砲ゆりと従来種のゆりと区別するため、従来種を「マドンナリリー」、鉄砲ゆりを「イースターリリー」と呼ぶようになったとのことです。

その後、イースター・リリーは、逆輸入されるかたちで明治末に鑑賞花として流行したそうです。


この写真の白百合が、鉄砲百合か、そのハイブリッドか、どんな品種かわかりませんが、何気なく道端に咲いている「品のあるその姿」は、夏の暑さを忘れさせてくれるのに十分な魅力を持っていました。